楽譜の歴史②メモから「設計図」へ音楽表現のビックバン!
印刷技術による革命
これまで「楽譜の歴史丸①」にて記譜法について紹介してきましたが
ここでは媒体のお話です
古代ギリシャでは石や粘土に楽譜を記譜することがありました
中世(9〜14世紀)では羊皮紙を使うか口承で伝えることが主流でした
15世紀後半から16世紀にかけて木版印刷の技術が広まり、他の分野に遅れながらも楽譜も印刷される様になります
しかし木版印刷にも限界がありました…( ´・ω・`)
まず挙げられるのは楽譜の視認性です
木版印刷は木の板を彫って、スタンプの様にして印刷していたので
音符の形が滲んだり、複数の旋律が絡み合う多声音楽になると楽曲を読み取ることが難解に
また、木を彫っているので修正が不可能という事や耐久性が低いということも懸念点でした
それでも口承だったり自分で書いていく「写譜」より綺麗に量産できたのです٩(>ω<*)و
15世紀中頃にはヨハネス・グーテンベルクによって金属の活字を組み合わせて印刷する活版印刷の技術を発明
複雑な音符の図形を活字で再現することは難しく、楽譜を刷る様になるのは50年ほど遅れますが、
耐久性も上がり、木版印刷に比べてまだ容易ではありませんでしたが、活版を入れ替えて修正が可能になりました、(⑉>ᴗ<ノノ゙パチパチパチ~
楽譜印刷に導入したのはイタリアの楽譜印刷家オッタヴィアーノ・ペトルッチ
それまで楽譜の印刷の精度が高くなかった活版印刷をペトルッチは2、3度と、分けて刷る方法で譜表・音符・歌詞と分けて印刷することにより楽譜印刷の精度が上がりました
これにより楽譜の印刷がかなり効率的になりました
まさに革命( ˇωˇ )
拡大していく表現
楽譜に書かれているのは音符だけではありません
どのような強さで演奏するのか?どの様なニュアンスで演奏するのか?
今の楽譜では書かれていることが多いですよね
しかし、この表現指示も初めからではなかったのです!
こちらは分けてご紹介します!
強弱の歴史
さて!「楽譜の歴史①」で触れたように、楽譜に音符が書かれ始めたのは13世紀頃
それまではしっかりとした音を細かく楽譜に指示するのではなく、曖昧なメモがわりでした
つまりは強弱の指示が書かれるようになるのは、少なくとも13世紀以降でしょう( ˘꒳˘ )
ではいつから書かれ始めた?
器楽曲の楽譜に初めて書かれた強弱で有名な例は16世紀末にあります
イタリアの作曲家ジョバンニ・ガブリエリの『ピアノとフォルテのソナタ』と言われています
この時「p」と「f」が初めて楽譜に記されたとされてます(´・∀・`)ヘー
そして時代が進むにつれ強弱の指示が細かくなっていきます
ハイドンやモーツァルトの時代(古典派)では主に使われていた強弱は「フォルテ」や「ピアノ」、「メゾフォルテ」くらいでしたが
ロマン派になってくると強弱表現も大胆になってきます
その理由は19世紀という時代にあることは無視できないでしょう
19世紀は革命の時代!
音楽そのものにもドラマを求められるようになります!
音楽でドラマを表現する上でもう一つ重要な革命が楽器に起きます!
それがピアノの誕生!( •̀ω•́ )✧
こちらは「ピアノの歴史」でもご紹介しておりますが、簡単に言うと
これまでのピアノよりも、大きな音が出せるようになり、
鍵盤を押さえる強さをコントロールすることにより、強弱の幅が増えたのです(* ˊ꒳ˋ*)
それにより、「強いか弱いか」だけではなく、より繊細な強弱表現が可能になり
より細かな指示を楽譜に指示することになります
エスカレートした結果チャイコフスキーの交響曲6番では「pppppp」と言うよな強弱表現が使われる様になります
発想標語の歴史
現在の楽譜には『カンタービレ』や『エスプレッシーヴォ』など書かれていることがありますよね
ではいつから書かれるようになったのでしょう?
それは17世紀初頭頃と言われております
初めは楽譜に書かれるようになったのは「Adagio」や「Allegro」などのテンポ(速度)と言われており、
今のような具体的な表現は書かれておりませんでした( ˙꒳˙ )
もっと言うと初めは速度と言うより、曲のニュアンスを表していたのです、
「Allegro」はイタリア語で「陽気に、快活に」と言う意味を持ちます
「この曲のニュアンスはこのような感じだから、速度もこの位だろう」と言った感じですね(*´艸`)
18世紀頃になると「Cantabile」や「Dolce」などの音に対しての『質感』を求められるようになります。
19世紀になると、「espressivo」や「animato」などの感情を表現するような指示が書かれ始めます
なぜ楽譜に細かく指示が?
さて!楽譜に書かれる強弱や表現について触れてきましたが、
ここで皆さんお気づきでしょうか?(´・ω・`)?
そう!楽譜に細かい指示が書かれる様になったのはどちらも17世紀前後なのです!
ではなぜ?
16世紀以前ですと基本的には声楽曲が主流でした
声楽ですと歌詞の意味や抑揚そのものが表現指示の様なものだったのです
要するに「書かなくてもわかるでしょ?」と言う感じでしょうか(笑)
では器楽はどうなの???
16世紀以前の器楽曲は声楽曲の伴奏が多かったので、同じように「歌がこうだから器楽もこう!」と言うように声楽曲をなぞる様な感じだったそうです
では本題の『なぜ17世紀前後からか?』についてですが、いくつか理由があると考えられます
まず1つが、オペラの誕生!
オペラを演奏するにあたり、音楽は「祈り・捧げ物」よりも『ドラマ』の時代に入っていきます
そうなると言葉のニュアンスだけでは統率が取れなくなってしまいます
加えてオーケストラが大きくなり、それぞれ解釈で演奏するとバラバラになってしまうと言う点もあります:( ;˙꒳˙;):
そのため強弱やおおまかな表現が指事される様になったと考えられます
2つ目は器楽の隆盛でしょう!
17世紀頃から器楽曲が隆盛してきます
それまでは歌詞の意味や抑揚に合わせていましたが、器楽のみになるとそうはいきません
そのため作曲者が声では不可能な表現を楽譜に書き記す様になります
そして17世紀は協奏曲の時代とも言えます
ジュゼッペ・トレッリやアルカンジェロ・コレッリらは協奏曲の形を作った人と言える作曲家、
ソロと合奏を交互に演奏することにより、大胆な強弱表現を行いました
現代の楽譜
これまでに音符や表現の指示の歴史に触れてまいりました
現在私達が使う楽譜は、歴史が進むにつれ進化してきたことが分かっていただけたでしょうか?
では今後は?
楽譜の書かれる媒体についてお話すると、音楽史上の最初期の楽譜は石でした
そこから羊皮紙、紙へと進みましたが、
現在は新たな媒体が生まれつつあります!
それはデジタル!!⸜( ˶’ᵕ’˶)⸝
まだ主流とは言えませんが、私も普段練習する際にタブレットを使って楽譜を見る事が増えました
これが演奏会の主流になるのかは分かりませんが、少なくとも楽譜を見る上で「紙」だけでは無い選択肢が増えた事は確かです( ˇωˇ )
これから技術が発達すると譜面台を置かなくとも空中に楽譜が浮かんで見える「AR技術」で読む事も増えてくるのかなぁ(*´艸`)
まとめ
ここまで前編・後編と楽譜の歴史を辿ってまいりました( *´꒳`*)
楽譜を記す媒体、音程やリズムを書き記す記譜法、そして音楽を彩る表現
皆さんが普段目にする楽譜にも先人達が試行錯誤して、ここまでバトンを繋いでくれたからなんですね( ˘-˘ )ジーン
という事でこれからも、ありがたく楽譜を使っていきましょう!
習志野市・津田沼・奏の杜・谷津 和田バイオリン教室♪
